夜、布団に入ると
なぜか急に考え事が始まる。
今日の出来事、明日の予定、過去の失敗……
「眠ろうとすればするほど頭が冴えてしまう」
そんな悩みを抱えていませんか?
実はこのタイプの不眠は、
性格の問題や意志の弱さではありません。
鍼灸の現場で診ていると、
こうした方には
・脈の打ち方
・お腹の張り方
・ツボの反応が
などに共通点が見られることが多いです。
考え事が止まらず眠れない人に多い特徴
このタイプの不眠には、次のような特徴があります。
・日中は忙しく、色々考えながら気を張っている
・疲れているのに頭が冴えてくる
・夜になると不安や反省が浮かびやすい
「眠気がない」のではなく、
体と頭がうまく休めていない状態と考えると分かりやすいでしょう。
東洋医学で見る「頭が休まらない」状態とは
東洋医学には
陰と陽という考え方があります。
簡単に言うと
・夜=陰(休む・鎮まる)
・朝=陽(動く・活動する)
夜になると、本来は
体も気持ちも自然と「休む方向」に向かいます。
ところが、体のバランスが崩れていると
この切り替えがうまくいかず、
頭だけが働き続けてしまいます。
その結果、
考え事が止まらず眠れなくなるのです。
脾(ひ)と心(しん)が乱れやすい人の共通点
東洋医学では、
考えすぎや不安感には
主に「脾」と「心」が関係すると考えます。
※ここでいう脾と心は、
西洋医学の脾臓(膵臓)と心臓そのものとは少し違い、働きのイメージとして捉えてください。
① 日中に考え事や気遣いが多い
仕事や家庭で常に頭を使い、
人に気を遣うことが多い方。
→ 日中の消耗が、夜に出やすいタイプ
② 甘いもの・脂っこいもの・生ものの摂りすぎ(または極端に少ない)
これらは「脾」と深く関係すると考えられています。
疲れた日に
「甘いものが欲しくなる」
という経験はありませんか?
適量なら脾を助けてくれるものになりますが
摂りすぎると逆にバランスを崩してしまうことがあります。
→ 食事の影響が睡眠に出やすいタイプ
③ 苦味のある食べ物が苦手
東洋医学では、
適度な苦味は「心」の働きを助けると考えられています。
苦味を避けがちな方は、
夜に気持ちが落ち着きにくい傾向があります。
→ リラックスのスイッチが入りにくいタイプ
④ 体の芯が冷えやすい
特に女性に多い傾向です。
・お腹が冷える
・手足が冷える
身体の中心や末端が冷えてしまうと、気が上(頭)の方へ上がってしまい頭が冴えてしまい身体を休めるための土台が整いにくくなります。
→ 体が休めないことで頭も休まらないタイプ
今夜からできるセルフケア
前置きが長くなりましたが、
ここからは今夜からできる対策です。
① ツボを刺激する
神門(しんもん)
心のツボで、
気持ちを落ち着かせる働きが期待されます。
三陰交(さんいんこう)
脾・肝・腎に関係するツボで、
全身のバランスを整えるのに使われます。
※場所は画像を参考にしてください。


② 食事を少し見直す
・甘いもの
・脂っこいもの
・生もの
摂りすぎている場合は、
少し控えるだけでもOKです。
また、
ゴーヤや春菊、ピーマンなどの
軽い苦味のある食材を
無理のない範囲で取り入れてみてください。
③ 足元を温める
考え事が止まらない時は、
エネルギーが頭の方に集まりやすくなります。
・靴下
・湯たんぽ
・電気毛布
などで足元を温めると、
気持ちが落ち着きやすくなります。
それでも眠れない場合の考え方
セルフケアで楽になる方も多いですが、
それでも頭が休まらない場合は、
体の緊張をゆるめるサポートを
補助的に取り入れるのも一つの方法です。
例えば
・GABAなどの副交感神経を優位にしてくれるサプリ
・お腹をあっためる為に白湯を飲む
・お腹や手足の温熱アイテム
などを
無理のない範囲で試す方もいます。
※効果には個人差があります。
体調に合わせて慎重に取り入れてください。
ツボ押しのワンポイントアドバイス
指で押す強さが分かりにくい場合は、ボールペンのノック部分を使うのもおすすめです。
ノックする部分が少し沈むくらいの圧で気持ちいいと感じる程度で2分間ずつ刺激してください。
まとめ
考え事が止まらず眠れない不眠は、
あなたの性格の問題ではありません。
普段の気の使い方や、食生活、冷えによるものが夜になって現れているだけのことも多いです。
できることから少しずつ試してみて下さい。

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